佐々木優美子(ささき・ゆみこ)
1962年、岩手県生まれ。主婦。東京都在住。
今も鮮明に目に浮かぶ、あの光景。父との数少ない思い出。一気に書き上げて投函した後不安になった。これを読んだ母はどう思うだろう。受賞の報せを受けてすぐ母に電話をかけた。「父の悪口を書いた」と言うと、「なあに、いいが。おらもいっぺえ書きてえ事あんが」と母は笑っていた。溢れるほどの思いが、家族の心の中にある。人生の全ての事には意味があると気付かされ感謝している。この作品が書けたのだから。
最優秀賞受賞作『クルミ味のストロガノフ』を表示(PDFファイル)
栗田陽二郎(くりた・ようじろう)
1942年、京城生まれ。福岡雙葉高等学校非常勤講師。福岡県在住。
応募要項を見るなり、「あの日、あの時の体験を書きたい」衝動に駆られました。53年前、廃品回収を生業とする夫婦と荷車を引いた深夜の出来事です。途中休憩をしたときの「おでん」の味と彼らのやさしさを忘れることがありません。貧しい中から差し出してくださった愛とまごころ、思いやりに、深く感動したのです。今回の受賞は、ご夫婦への感謝、恩返しと受け止めています。ありがとうございました。
優秀賞受賞作『「おでん」の味とやさしさと』を表示(PDFファイル)
室星尚明(むろほし・ひさあき)
1953年、東京都生まれ。フランス語講師。埼玉県在住。
日曜の昼下がり、「入選のお知らせ」と手書きされた速達便が届きました。思いもかけない優秀賞受賞の朗報に、昼食の箸を握る手も止まり、感慨無量でした。選考委員の先生方には感謝の念で一杯です。亡父への思いを綴った拙い作品ですが、霊前にも報告でき、喜んで貰えたと思います。この日の夕食は、くしくも作中に登場した水餃子。縁を感じる不思議で素晴らしい一日になりました。ありがとうございました。
優秀賞受賞作『三等兵と水餃子』を表示(PDFファイル)
廣瀬みお(ひろせ・みお)
2001年、静岡県生まれ、神奈川県育ち。学生。神奈川県在住。
この度は本当にありがとうございました。思いがけない嬉しいお知らせに、感謝の気持ちでいっぱいです。みんなと同じものを食べられることは当たり前なことではなく、本当に幸せなことなのだと感じています。食は、人を元気づけたり、応援したり、感謝を伝えたりすることができる、魔法のように不思議なものです。このエッセイを通して、今度は私の方から食の大切さを伝えていけるようになりたいと思います。
優秀賞受賞作『大切な日』を表示(PDFファイル)